執行委員長挨拶

城太志執行委員長

 

 広島県高等学校教職員組合、執行委員長の城太志(ジョウ フトシ)です。2024年度を迎え、挨拶を申し上げます。
 まずは冒頭、1月1日に発生した能登半島地震についてであります。今回の地震では、組合員2名が犠牲になられたとうかがっています。改めて、地震によって亡くなられた方々のご冥福をお祈りするとともに、被災された方々に心からお見舞いを申し上げます。
 被災単組の一つである石川県教組が、1月25日付けで発行した機関誌に、執行委員長が「能登半島地震に際して組合ができること」と題して文章を寄稿しています。その末尾では「あなたは一人じゃありません。本当に辛いことですが、こんな時こそ、仲間を頼り、仲間とともに、少しだけ前に進みましょう。県教組は少しでもあなたのお役に立てればと考えています」と結ばれています。まさに組合の存在意義を的確に表した言葉だと思います。広高教組もそうですが、組合の原点は、困っている職場の人たちが、課題に対して、団結の力で解決することを目的として集まった仲間の集団です。こんな時だからこそ組合の存在が必要なのです。
 現在、広高教組は教育復興支援のため「災害支援カンパ」を行い、そのカンパを日教組に送りました。このカンパは被災地の学校に対して直接支援することに使われます。
 今後も全国連帯のもと、教育復旧支援に取り組んでいきます。
 次に、教育を取り巻く状況についてであります。
 中教審「質の高い教師の確保特別部会」が開催されています。現在は主に処遇改善のあり方について議論されています。委員の発言を聞くと、「自主性」「特殊性」「教職の魅力」などを前提としたものが多数を占め、私は正直失望しています。そもそも今回の特別部会の設置目的は、教職員の確保であったはずです。
 何年にもわたって全国各地で教職員を十分に確保できず、生徒への深刻な影響が及ぶ緊急事態となっています。それにも関わらず、特別部会での議論は、私たちの願いや実態を考慮することなく、給特法を制定した40年前の古い考え方に固執しています。「自主性」とは何でしょうか。教職員に業務を取捨選択する自由があるのでしょうか。教職員にあるのは、膨大な業務を指示されることなく、命やくらしを犠牲にして黙々と行う「自主性」だけではないでしょうか。教職員の仕事には「特殊性」があるとの発言もありますが、私には際限なく働けとしか聞こえません。そもそも、働き方改革のために「必要な定数」「適正な業務量」はいくらなのか誰も答えられていません。何故なら、どれだけ働いても、自主性・自発的と称して黙認される現行制度の下では「必要な定数」も「適正な業務量」も隠蔽されるからです。
 教職員の働き方改革ためには給特法の廃止、抜本的な見直ししかありません。
 「「学校の大ピンチ」を救う方策を求める署名」は、目標の40万筆を大きく上回り、約70万筆になりました。「学校の大ピンチ」は社会から注目されています。学校の働き方改革をなんとしても進める。私たちの取り組みを強力に進める。その決意を改めて、ここに述べさせていただきます。

2024年4月1日

広島県高等学校教職員組合
執行委員長   城 太志